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川越キングス・ガーデンの外観
特別養護老人ホーム

社会福祉法人キングス・ガーデン埼玉
川越キングス・ガーデン

埼玉県川越市、東武東上線の駅からほど近い場所に、地域から圧倒的な支持を集める特別養護老人ホームがあります。「川越キングス・ガーデン」。キリスト教精神に基づく「愛と奉仕」の理念のもと、入所者100名の暮らしを支えるこの施設には、入所待機者が約150名。紹介会社を一切使わずに職員が集まり、昨年の新規採用18名に対して離職はわずか1名。その秘密は、35年にわたり受け継がれてきた「人を大切にする」という、シンプルで揺るぎない信念にありました。

「費用が安い・建物が新しい・駅から近い」
──川越で一番選ばれる理由

川越市には広域型の特別養護老人ホームが約16か所ありますが、昔ながらの従来型(多床室)で費用が安い施設はわずか6か所。残りの10か所は新型のユニット型で、個室料金がかかるぶん月額5〜6万円ほど高くなります。

「ご夫婦で年金が月20万円くらいの方が多い中で、ユニット型の月15〜16万円はとても重い負担です。残されたお父さん、お母さんはどうやって生活するのか。貯蓄もいつ底をつくかわからない。だから費用の安い従来型の施設に申し込みが殺到するんです」と、伊藤施設長は現状を語ります。

川越キングス・ガーデンは、その数少ない従来型特養の一つでありながら、2019年に新築移転した真新しい建物を持ち、しかも駅から近い。この三拍子が揃った施設は、川越市内では唯一と言っても過言ではありません。現在の入所待機者は約150名。毎月10〜十数名の新規申し込みが入り続けています。

「弱い方を全力で支える」
──35年変わらないキリスト教の理念

しかし、川越キングス・ガーデンが選ばれる理由は、立地や費用だけではありません。施設の根幹には、キリスト教精神に基づいた「愛を持って仕えなさい。特に一番弱っている方、小さい者に仕えなさい。それは神様にすることなんだ」という教えがあります。

「そこが私たちの一番の売りです」と伊藤施設長は胸を張ります。「利用者の方々に優しくできるけど、職員間では厳しい──そんなのは本質的に違いますよね。利用者の方々に対しても、職員に対しても、地域の困っている方に対しても、等しく愛を持って接していく。それが私たちの根底にある考え方です」。

この理念は、入所者のケアだけでなく、職員同士の関係性にまで深く浸透しています。

新規採用18名、離職わずか1名
──「職員は宝」を本気で実践する組織

昨年、川越キングス・ガーデンには新卒・中途合わせて18名の職員が入職しました。そのうち離職したのは、持病の関係で1週間で退職された方のたった1名。驚異的な定着率の裏には、「職員は宝だ」という法人全体の確固たる哲学があります。

「新しい職員って、やっぱり不安なんですよ。わからないことだらけで辛い。その辛さにみんなが寄り添って支えている。職員間でそれができないのに、利用者の方々にできるわけがないじゃないですか」。

伊藤施設長が特に力を入れているのが、何らかの課題を抱えてチームに溶け込めない職員へのサポートです。「できない職員」として一括りにするのではなく、障害者支援センターや保健所といった外部の専門機関と連携しながら、一人ひとりの課題を丁寧に精査し、チーム全体で支える仕組みを構築しています。

「彼にはこういう課題があるんだよ、みんな助けてくれないか──そう共有すると、『そんな課題があったの、辛かったね。じゃあ助けようよ』とうちの職員はなるんです。そこが私たちの職員の素晴らしいところです」。

さらに、家庭の事情で限界を迎えた職員には、現場から総務への配置転換を柔軟に行い、腰を壊した介護職員には相談員業務への転身を提案するなど、「辞めさせない」のではなく「辞めなくていい居場所をつくる」という姿勢が徹底されています。

紹介会社は「一度も使ったことがない」
──口コミと信頼だけで人が集まる奇跡

採用面でもう一つ驚くべき事実があります。川越キングス・ガーデンは、人材紹介会社を一度も利用したことがありません

「ハローワークに出すと来るんですよ。ハローワークさんも私たちのことを信頼してくださっていて、『ここだったら大丈夫だから』と紹介してくださるケースが結構あります」と伊藤施設長。

入所者のご家族からの口コミで「キングス・ガーデンがいいよ」と知人に勧められて応募してくる職員。教会のつながりで理念に共感して入職するクリスチャンの方。他の施設で疲弊し、「助けて」と駆け込んでくる転職者──。様々なルートから、自然と人が集まってくる土壌がここにはあります。

副施設長の石嵜さんも「辞めないし、入ってくるんですよ。ハローワークに『ちょっと人が足りないから』って電話すると、すぐ来てくれて。今、保留にしようかなって言ってるくらいです」と笑います。

胃ろうを外し、再び食べられるように
──「その人らしさ」を諦めない現場力

川越キングス・ガーデンの現場には、利用者の「生きる喜び」を最後まで諦めない文化が根づいています。その象徴的なエピソードが、胃ろうの利用者が再び口から食事ができるようになった事例です。

「胃ろうだった方が、みんながご飯を食べている風景を見て『食べたい』とおっしゃったんです。職員がそれを拾ってきて、『この方が食べたいって言ってるんですけど、どうにかなりませんか』と」。

最初は「難しい」と思われた挑戦でしたが、医師に相談し、ご家族の了承を得て、ゼリー一口から段階的にスタート。見守り体制を強化しながら、ミキサー食、そして通常食へ。今では三食を口から召し上がり、胃ろうは使っていません。

「食べるって、生きていく上での本質的な喜びなんですよね。そこを支えていくことが非常に大切だと思っています」。

安易に食事形態を下げるのではなく、「うどんが好きな方にドロドロのミキサーを出しても、それはうどんじゃない。食べなくなったら意味がない」と、利用者の気持ちを最優先にしながら安全とのバランスを職員同士で絶えずディスカッションしている姿が印象的でした。

便器の向きを逆にした「こだわりのトイレ」
──利用者目線の設計思想

トイレの写真1 トイレの写真2

施設内を見学して特に驚いたのが、トイレの便器の向きです。通常、配管の関係で便器は壁側に設置されますが、川越キングス・ガーデンでは入口側に向けて設置されています。

「車椅子の方がそのまま入って、向きを変えずに座れるようにしたかったんです。壁側だと方向転換が必要で、足腰の弱い方は転倒のリスクがある。骨粗鬆症の方も多いので、ちょっとひねるだけで骨折してしまう事故が以前は多かったんです」。

業者からは「こんなのできない」と断られながらも粘り強く交渉し、実現させたこのトイレ。結果、利用者が自分でトイレに座れる頻度が大幅に増え、下剤の使用量も減少。「お腹が苦しい」と顔をゆがめる利用者の表情を見なくて済むようになりました。

さらに、テーブルも4人掛けから2人掛けの高さ調節式に変更。一人ひとりの体格に合わせた高さに設定することで、前傾姿勢を保ちやすくなり、誤嚥性肺炎のリスクが大幅に低減しました。

毎朝の礼拝と「お祈りリスト」
──入所者も職員も一人ひとりを想う時間

川越キングス・ガーデンならではの光景があります。毎朝10時、近隣の教会からローテーションで牧師が訪れ、入所者の前で礼拝を行うのです。川越、坂戸、鶴ヶ島、狭山──様々な教会の先生方が、中には川崎から2時間かけて来てくださる方もいます。

「クリスチャンの方の入所申し込みが非常に多いんです。宮城や鹿児島など全国から来られる方もいます。入所後に教会に行くことができなくなる方がほとんどなので、毎日礼拝があるというのは大きな意味があるんです」。

印象的だったのは、クリスチャンではない入所者も約半数が礼拝に参加しているということ。「全然クリスチャンじゃない方が、牧師先生のお話に共感して手を挙げて『うーん』と頷かれていたんです。実はその方、耳が聞こえないんですよ。でも何かしら心に響くものがあったのかもしれません」。

30年前から看取り介護を実践
──「またね」と送り出す穏やかな最期

川越キングス・ガーデンは、介護保険制度で「看取り加算」が設けられるはるか以前、伊藤施設長が入職した30年前から看取り介護を実施してきました。

施設内には「静養室」と呼ばれる個室があり、終末期の方がご家族と共にゆっくりと最期の時間を過ごすことができます。中には一週間、ここで過ごされた方もいるといいます。

「普通の施設は、亡くなった後すぐに出棺、裏口から──という形が多いですよね。でも私たちは、できる限り他の入所者の皆さんにお別れの場を設けるんです。お顔を見ていただくと、皆さん意外と前向きで。『綺麗な顔してるわね、よかった。またね、バイバイ』って」。

出棺の時も、20人ほどの入所者がぞろぞろと玄関に集まり、賛美歌を歌い、「またね」と手を振って見送ります。

「悲しいんじゃないんです。感動して泣いて、嬉しさなんですよね」と副施設長の石嵜さん。「あんな風に見送られたいなって思っちゃいますよね」。

この穏やかな看取りの文化は、職員のグリーフケア(心の整理)にも大きな役割を果たしています。「すぐに出棺されると、職員も気持ちの整理ができない。『苦しんだんじゃないか』と不安になる。でもお顔を見ると、皆さんものすごく穏やかな寝顔をされていて。『ああ、よかった、苦しまなかったんだ』と安心できるんです」。

子どもたちが企画会議をする施設
──世代間交流の奇跡

ボランティアカレンダー

川越キングス・ガーデンでは、かつて地域の小・中・高校生が自主的に集まり、入所者と交流するボランティア活動「このよびとまれ」が行われていました。子どもたちは施設内で2時間の企画会議を行い、紙相撲などの遊びを考え、実施後には2時間の反省会まで行っていたといいます。

「普段、介護される側の皆さんが、子どもたちが来ると今度は支える側になるんです。『この子のために頑張ろう、生きていていいんだ』と元気になってくる。そして学校で傷ついている子どもたちも、おじいちゃんおばあちゃんに癒されて、生き生きして帰っていく」。

私たちがどんなにいいアプローチをしても笑顔を見せてくださらない方が、小さな子どもたちが来ると驚くほどの笑顔を見せるのだそうです。

現在はボランティアコーディネーターの退職により一時的に縮小していますが、今も家族によるピアノ演奏、ボランティアによる「青空カフェ」(コーヒーとケーキのおもてなし)、アロマハンドマッサージによる終末期ケア、歌のパートスタッフなど、多様な外部との連携が続いています。

フランス料理のシェフが作る
──「川越一美味しい」食事

厨房の外観

川越キングス・ガーデンの食事は外注ではなく、自前の厨房スタッフが手作りしています。なんと、厨房職員にはフランス料理出身のシェフも。20年以上のベテランスタッフも多くいるのだそう。

「食事は多分、川越市で一番美味しいと思います」と伊藤施設長は自信を見せます。

月に一度のお誕生会ではお刺身や天ぷら、赤飯などのご馳走が並び、さらに誕生日当日には事前にリクエストを聞いた特別メニューが提供されます。「うなぎが食べたい」と言えばうなぎが出てくる──外注では実現できない、自前厨房ならではの柔軟さです。

厨房がガラス張りになっているのも大きな特徴。入所者が調理の様子を眺めに来て、「あんた、美味しかったわよ」と声をかける。その言葉がスタッフのモチベーションになり、「ガラス張りにしてから、すごく美味しくなったんですよ」と施設長は笑います。

「当たり前のことを当たり前に」
──施設長と副施設長が語る、これから

最後に、施設のこれからのビジョンを伺いました。

伊藤施設長:
「みんなが気持ちよく、利用者の方々が生き生きと生活していて、職員が気持ちよく働ける──それでいいかなと。特別なことをやるのではなく、当たり前のことを当たり前にやっていく。地味でもいいと思っているんです」。
石嵜副施設長:
「人と人が声を掛け合って、手を差し伸べて、触れ合いながら、自然な形で幸せを感じられるようになってほしい」

入所者自らが見学者に「ここはいいところだよ、あんたも入りなさい」と勧める施設。30年以上かけて醸成された文化と、それを「守り、継承する」という施設長の静かな覚悟。川越キングス・ガーデンには、派手な革新はないかもしれません。しかし、ここには介護の原点ともいえる「人を大切にする」という揺るぎない信念が、日々の営みの中に確かに息づいています。

FACILITY INFORMATION施設概要

施設名川越キングス・ガーデン
運営法人社会福祉法人キングス・ガーデン埼玉
施設種別特別養護老人ホーム(従来型)
定員特養80床+ショートステイ20床(計100名)
住所〒350-0806 川越市大字天沼新田247番地2
電話番号Tel:049-232-5155/Fax:049-232-5157
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理念キリスト教精神に基づく愛と奉仕
施設長伊藤 貴俊