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やすらーじゅ瑞穂 施設外観
特別養護老人ホーム

社会福祉法人さくら瑞穂会
やすらーじゅ瑞穂

埼玉県川越市の穏やかな環境に、「生きる幸せすべての人に」を本気で目指す特別養護老人ホームがあります。「やすらーじゅ瑞穂」。医療法人・社会福祉法人・学校法人を擁するグループの一角として、2018年に開設。現在100床の施設に40床を増築中で、来春には140床へと拡大します。施設内には利用者が自分でお菓子やカップラーメンを選ぶことができる「売店」があり、北海道から取り寄せたサンマを炭火で焼く秋の行事があり、そして6年間途切れることなく続く子ども食堂がある──。「高尚な理念を語るよりも、まずは目の前の人のために動く」という姿勢を貫く施設長と、接客業のホスピタリティを福祉に持ち込む生活相談員が率いるこの施設には、福祉のリアルな課題への挑戦と、人への深い愛情が同居しています。

民間企業から社会福祉法人への転身
──「真の福祉」を求めて

山嵜施設長

やすらーじゅ瑞穂の山嵜施設長は、もともと民間の介護施設でエリアマネージャーを務めていた経歴を持ちます。当時は利益や稼働率が最優先される環境にあり、常にトラブル解決に追われる日々に葛藤を抱えていました。

そんな折、現在の法人から誘いを受けたことが転機となります。「数字だけではない、利用者本位の福祉を社会福祉法人で追求したい」──その強い直感が、山嵜施設長をやすらーじゅ瑞穂での新たな挑戦へと導きました。

6年間途切れなかった子ども食堂
──地域の「もう一つの居場所」として

やすらーじゅ瑞穂を語る上で欠かせないのが、月に一度開催される子ども食堂です。山嵜施設長が立ち上げから関わり、6年以上途切れることなく継続しています。全国で子ども食堂が急増する中、立ち上がっては消えていく団体も少なくありませんが、やすらーじゅ瑞穂ではなぜ続けられるのでしょうか。

「長く続く秘訣は、無理に組織化しすぎないことです。ルールでガチガチに縛るのではなく、ボランティアさんが『やれる時にやる』という柔軟なスタンスを保つことが、結果的に持続可能な運営に繋がっています」と山嵜施設長は語ります。

しかし、その緩やかな運営の裏には、切切な願いが込められています。

「子どもたちが学校や家庭で言えない悩みを、地域の第三者になら話せるかもしれない。子どもたちが『こんなことがあった』と話してくれた時、私たちが寄り添い、時には学校と連携して守ることができる。そういう『もう一つの居場所』が一つでもあればいいなと思っているんです」。

実際に、様々な背景を持つ子どもたちが顔を見せに来ることもあり、「元気になったね」と成長を見守る日々。6年の積み重ねが、地域の子どもたちの居場所を確かに育てています。

「選ばれる施設」になるために
──接客業のホスピタリティを福祉へ

ユニット入り口

取材中、現場のキーマンとして独自の視点を持っていたのが、生活相談員の家久来(かくらい)さんです。元美容師・アパレル業界という異色の経歴を持つ家久来さんは、接客業で培った「ホスピタリティ」こそが福祉の世界にも不可欠だと考えています。

「特養だからといって、待っているだけで入居者が集まる時代ではありません。施設の魅力をしっかりとお伝えし、ご家族に安心していただける『サービス精神』が、生活相談員には求められているのです」と語ります。

100名の利用者全員を担当制にせず、複数の相談員がフラットに対応する体制も特徴的です。担当を分けることで生じる対応の温度差をなくし、「全員で100人全員の暮らしを見守る」という強い責任感がそこにはあります。

売店、移動販売、全国ご当地丼
──「消費者としての喜び」を忘れない

施設内売店の様子

施設内を見学して驚いたのが、一つの部屋がまるごと「売店」になっていたことです。冷蔵庫にはジュースやアイス、棚にはお菓子やふりかけ、カップラーメンまで並んでいます。これらのユニークな取り組みの多くは、アイデアマンである山嵜施設長の発案によるものです。

「施設に入居されても、ご自身で商品を選び、お金を払って買い物をするという『日常の営み』を大切にしていただきたいのです」。自分で選ぶ楽しみを維持することが、認知機能の低下予防や生活の質の向上に繋がると考えています。

移動販売の様子1 移動販売の様子2 移動販売の様子3
各フロアを回る「移動販売カート」

さらに、新幹線の車内販売さながらの「移動販売カート」を廊下で引き、寝たきりで売店まで足を運べない方のベッドサイドまで商品を届けるサービスも実施。「自分で見て、選んで、買う」という喜びを、身体状態に関わらずすべての方に提供しています。

秋には北海道から取り寄せたサンマを施設の庭で炭火焼きにし、毎月「全国ご当地丼フェア」を開催して47都道府県の味を楽しんでいただく。

ご当地メニュー

「89歳になって初めて食べるものが出てくる。それだけで日々の楽しみになるじゃないですか」と家久来さんは微笑みます。

多様性を力に変える組織づくり
──髪色・身だしなみから外国人材まで

やすらーじゅ瑞穂の職員の身だしなみは、非常に柔軟です。髪色やネイルなどについても「利用者に怪我をさせないこと」を絶対の基準としつつ、職員の個性を尊重しています。これは多様な人材を受け入れ、働きやすい環境を整備するための柔軟な現実対応でもあります。

また、外国人材の受け入れにも積極的です。グループ全体の施設を含め、多くの外国人スタッフが活躍しています。
当初は言葉の壁などへの不安の声もありましたが、母国を離れて日本の福祉現場で働こうとする彼らの「覚悟」と「真摯な姿勢」は、半年も経てば周囲の深い信頼へと変わります。今では現場に欠かせない大きな戦力であり、利用者も異文化交流を楽しんでいるといいます。

「生まれてから死ぬまで」
──一つのグループで人生に伴走する安心

やすらーじゅ瑞穂を運営するさくら瑞穂会は、医療法人、学校法人とともに一つのグループを形成しています。特養、障害者グループホーム、訪問看護、病院──。

「障害者グループホームから特養、そして医療まで、一つのグループで一貫して人生に伴走できる。顔なじみのスタッフが最後までサポートできる体制こそが、ご家族にとって一番の安心に繋がるはずです」と山嵜施設長は語ります。

「生まれてから死ぬまで」、医療・介護・障害福祉を切れ目なく提供できるグループの総合力こそが、地域社会における最大のセーフティネットとなっています。

次世代へバトンを渡すマネジメントの覚悟

施設の数々のユニークな取り組みを牽引してきた山嵜施設長ですが、現在は「次世代のリーダー育成」へとその眼差しを向けています。

「私がいなくても自走できる組織を作らなければなりません。自ら手を挙げてくれる職員を育て、権限を委ね、失敗も含めて見守っていく。それが今の私のマネジメントの形です」と語る姿には、組織の未来を見据える静かな覚悟が滲んでいました。

やすらーじゅ瑞穂には、「目の前で困っている人のために動く」というシンプルな行動原理と、「続ける覚悟」があります。子ども食堂の6年間が、売店の利用者の笑顔が、そして来春の140床への増築が、その確かな歩みを物語っています。

FACILITY INFORMATION施設概要

施設名 特別養護老人ホーム やすらーじゅ瑞穂
運営法人 社会福祉法人さくら瑞穂会
施設種別 特別養護老人ホーム(ユニット型)
定員 100名(2026年春に140床へ増床予定)
所在地 〒350-0013 埼玉県川越市渋井219
連絡先 TEL: 049-230-2100 / FAX: 049-230-2101
併設事業 ショートステイ
関連グループ 医療法人瑞穂会
施設長 山嵜 正春
特徴 施設内売店・移動販売、子ども食堂(月1回)、全国ご当地丼フェア、外国人材受入、個性を尊重した身だしなみ基準
理念 1.一人ひとりの人間性を重視し、生きる喜びと自立を創る
2.地域社会の保健、医療、福祉を守り、まちの元気を創る
3.自信と誇り溢れる組織を創り職員の豊かな生活を守る